コレクションOF『カルトGSコレクション』

(我がGS遍歴)6

ルビーズ最終回に付増量。

 


 あまりにも多岐にわたる展開で収拾がつかなくなってきた感のある

このコーナー。主役だったはずの「ルビーズ」の話はどうなったのか?

と言うわけで、「ポリドールアワー」に出ていた「愛田健治」「田村エミ」

「キングトーンズ」「覆面歌手・ミス・ゴールデンベール」「ユキとヒデ」に

まつわる話は又に機会に譲るとして、今回は「ルビーズ」にとって最大の

イベントであった『武道館ライブ』について書きましょう。


 『武道館』。そう、あの『ビートルズ』が始めてコンサートに使用して以来、

すべてのアーティストにとって憧れの対象になっていた『日本武道館』です。

最近では『武道館』の価値がデフレになったのか、アーティストの価値が

インフレになったのか、ちょっとした声優でも『武道館』ライブなんて

やりますが、当時は『武道館』の価値もまだまだ高く、もちろん

「ルビーズ」単独で出られるはずは無いわけです。

(すんません山川さん)


 ではどうして「ルビーズ」が『武道館』に出たのか?と言えば、

そう当時人気絶頂の『タイガース』の『武道館コンサート』

の、まあ平たく言えば前座として、僚友「キングス」と

ともに出演の栄に浴したというわけです。

武道館での「ルビーズ」

 このタイガースの『武道館ライブ』は68年3月10日、

彼らの初主演映画『世界は僕らを待っている』の撮影も

かねて行われ、その様子は当然映画の中でも使われています。

宇宙船に拉致された「沢田ジュリー」氏が「僕たちを地球に帰してくれる

ようにみんなで呼びかけて!」と言うシーンですね。

 で、なんせ当時は日本人アーティストが単独で『武道館』を使うと言う前例が

無く、『タイガース』本人もかなり気合が入っていたようだとは「ルビーズ」

山川さんの話。そりゃそうでしょう。『ビートルズ』に次いでって訳ですからね。

当日、沢田青年は「ルビーズ」「キングス」の面々のいる楽屋を早々と訪れ、

『先輩!今日はよろしくお願いします』と丁寧に礼を尽くし挨拶して言ったそうです。


 ここでカルトGS関係者(そんなのいるんかい?)はハタと思い当たるのですが、

「ルビーズ」とともに前座出演した「キングス」こそ、大阪「ナンバ一番」時代に

「ファニーズ」だった「タイガース」の先輩に当たり、駆け出しの彼らは「キングス」

(当時は「キング・オブ・キングス」=後にメンバーの一部が「オックス」になる)

のようになりたいと思ったかどうかはわかりませんが、上下関係の厳しかった

当時の芸能界で、さすがは元祖ロケンローラー内田裕也氏に見込まれ

仕込まれた礼儀正しさ、売れて何ぼの世界を制しながらも仁義を通すという、

これは美談と言えるでしょうって何のことかわからないなこりゃ。


 でも、『ビートルズ』の後という事で言うと「ルビーズ」や「キングス」のほうが

「タイガース」より先にステージに上がってるわけで『ビートルズ』との

時間的な距離は「ルビーズ」のほうが近いわけですね。

まあ、だからどうってことは無いんですが・・。それを言うと第一期

「ビレッジシンガーズ」は「ビートルズ」の直後も直後、66年10月には

ロビー和田氏率いる「ニュー・フォークス」のバッキングバンドで「武道館」に

出演してますね。さらに言っちゃうと『ビートルズ』より先にステージに

上がったのは「ドリフターズ」だから『武道館』第一号は「ドリフ」か「ブルコメ」

「ブルージーンズ」なわけですが・・。


 うーむ、なんかまたまた変な方向へ行き始めたぞ・・。

ならば、この際だから言わせていただくと、この『ビートルズ』公演の前座出演に

関しては「スパイダース」にオファーが来ていたそうです。

これは「文芸別冊『GS総特集』」における田辺昭知氏と阿久悠氏の対談の中で

語られています。これは初めて聞く話です。当事者で無いとかたれない!!

ってなぜ私がこんなにはしゃぐんだよって思うでしょ?

 だって考えてください!当時リリースされていた「スパイダース」の

『アルバムNO、1』を思い起こしてください!

『フリフリ‘66』『ヘイ・ボーイ』『リトル・ロビー』

『ノー・ノー・ボーイ』etc。

リバプールサウンドフレーバーたっぷりの

楽曲の数々。

それが「ビートルズ」の耳に入っていたかも

しれないんですよ。

「故・ジョージハリスン」が「ブルコメ」三原綱木氏の

ギターを聴いて「彼のギターはよいセンスだ」と言ったというのは

あまりにも有名な話ですよ!

その伝で言えば、「スパイダース」のサウンドを聞いたら『ジョージ』は

なんと言ったのでしょう?・・。『彼らのサウンドはグッドセンスだ』なんて

いったとしたら、、。想像しただけでぞくぞくしませんか?ひょっとしたら、

その後のGSシーンのみならず、日本のポップスシーンがぜんぜん違う発展を

したかもしれないわけですよ。興奮するなと言うあなたが悪い!

・・って何を言い出すやら‥ハハハ。でも、この歴史上のIFが本当に

なってたら・・。どうです?この想像、楽しいじゃありませんか。

 

 ハレー、こりゃ又なんと言う脇道というか妄想と言うか、で、その日の

「ルビーズ」の勇姿は「カルトGSコレクション」(ポリドール編)に写真として

載ってます。が、しかし、彼らがその日どういうレパートリーをやったのか、

何分ぐらいやったのか、「キングス」より先か後かなどという肝心要の事を

山川さんに聞くのをすっかり忘れていたことを忘れていた・・。

ふむふむ、これじゃ、なーんも役に立たんな・・。山川さん、今度会ったら

教えてください。


 そういうわけで、会見記「ルビーズ」に会えたぞ!シリーズは今回で終了、

大げさに始めた割にはこのそそくさとした終わり方・・。

まるで、こそ泥に入った家で番犬に吼えられ,スタコラ逃げる間抜けな泥棒ですな。

で、その「ルビーズ」の写真なんですが、LGの菊谷さんが持ってるギター、

ボディーがフェンダー、ヘッドがギブソンみたいな

不思議なギターですね。

どこのメーカーだったのでしょう?後、このバンドには

キーボードの『沢田謙二』サンという、「タイガース」の

「沢田研二」さんと一時違いの人が

いたんですが、当時ぜんぜん話題にすら

なってませんでしたね・・。


 では、次回『ライオンズ』まで・・。

文 写真提供: 秦 義人

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