H:66年の終わりにサベージに移籍されるわけですが、サベージがシングルを2枚出した後にアルバム(「この手のひらに愛を サベージアルバム1」66年1月リリース)を出しているのですが、ジャケット写真に渡辺さんの姿が無いのですが、これには参加されていなかったのでしょうか。
W:いや、参加してますよ。
ただ、そのジャケットに載ってないのは、もうすでにジャケットの写真を撮り終えていたんですよ。
それで、そこには載せられないと言うことでジャケットの裏側の曲の紹介の所のコラムに僕の写真が載ってるんです。
H:そうだったんですか、いやーずっと私の中でその事は謎になっていたんですよ。インストの「スペース・エクスプレス」(前回で触れましたが)は渡辺さんのリードギターなんですよね。
W:そうです。
H:この「スペース・エクスプレス」のギターの音と、その後で出された「さよならコペンハーゲン」のギターの音が同じなんですよ。ですから、何でこのアルバムのジャケットに渡辺さんが写ってなかったのか不思議だったんです。
W:このアルバムの制作中に僕が加わったんですよ。
その時点ですでに「スペース・エクスプレス」は出来てたんです。(前編にいきさつが有ります。)
それで、そのアルバムを作るにあたり、サベージはインストバンドだと思っていたけど、インストの曲が余り無いじゃないかと思い、聡に、当時僕は、寺尾さんの事は聡と呼んでいて、彼は僕のことを昌宏って呼んでたんですが、「僕の曲もどう?」って言った所「昌宏の曲が入って無いから良いじゃない、やろうよ。」と言う事になったんです。
I:サベージと言うと私の中では、先のシングル2曲のせいでフォークグループと言うイメージが強かったんですよ。
それで、私の持っているサベージのベスト盤でも、最初の頃はバックにオーケストラとか入っていたのですが、後半になるとGSと言うか、バンドの音で演奏してるんですよね。私たちもそのスタイルになってからのほうが好きなのですが、これは渡辺さんの加入による物だったんですね。
W:このアルバムにはこれだけ(「スペース・エクスプレス」)なんですが、その後に日本航空の世界一周路線開発記念のコンセプトでアルバム(「ゴー!スパイダース・フライ!サべージ」67年3月リリース)を作る話が有りまして、それで「さよならコペンハーゲン」と言う曲を入れました。
H:その事についてお聞きしたいのですが、JALの企画では、世界一周とまでは行かなくてもコペンハーゲンには行かれたのですか。
W:いや、僕は行って無いですね。飛行機が世界一周ということだったら、コペンハーゲンも有って良いかなと思って名前をつけたんですけどね。
H:では、現地に直接行ったと言うのではなくイメージで、こんな風かなと思って作られたんですね。
W:そうですね。
東京Vのコンパクト盤。右端の青いジャガー(ギター)が渡辺さん。
I:当時仲のよかったバンドとかは有りましたでしょうか。
W:そうですね、よく一緒に仕事をしたという意味では、ビレッジ・シンガーズですね。
所属事務所が同じだったんで。
ホリプロ傘下のGAP(ゼネラル・アート・プロデュース)と言う所ですが。
H:そう言えば、オックスも後に同じホリプロじゃなかったでしょうか。
W:そうですね、オックスも居たかなあ。
H:モップスもそうだったような気がしますが。
W:うーん、一寸記憶が曖昧なんでよく覚えてないですね。
I:サベージとしては、どんなジャズ喫茶に出ていたのでしょうか。
W:「ラ・セーヌ」、「銀座ACB」、銀座の不二家の近くの「ミュージック・サロン」って言ったかなあ、それから、御徒町に今は有りませんが、「東京」って名前のジャズ喫茶が有ったんですよ。そこにも出てましたね。
I:地方公演とかはどうでしょうか。
W:一杯行きましたね。
よく覚えてるのは、僕が入って間も無い頃仙台に行きましたが…
I:グランドパレスですか?
W:名前は忘れてしまいましたが、その当時サベージは人気絶頂で、「ああ、人気者とはこう言う物なんだ。」とつくづく感じました。
H:やっぱり東京Vとは違うと(笑)
W:そうですね。東京Vと言うと局地的な物で、サベージと言うと全国エリアって感じですかね。ですから、TVの影響ってのは凄いなと。
H:その頃、ステージのレパートリーってのはどう言う曲でしょうか。
W:シャドウズの「春がいっぱい」、「紅の翼」、「シャドウ・ギー」、「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」、あと、「サベージ」と言う曲が有るんですよ。
H:サベージの名前の由来になってる曲ですね。
W:そうです。あと、「イン・ザ・ムード」、「スターダスト」。
僕は個人的には、チェット・アトキンスと言うギターの人が好きでかなりコピーしていたんで、サベージでも何曲かやった記憶がありますね。
H:大体インストが多かったんですか。
W:今上げたのはインストですが勿論ヒット曲の数々もやりました。
H:「哀愁の湖」とかもやったのでしょうか。
W:いや、あれはもっと後ですね。(「哀愁の湖」の入ってるアルバムのジャケットを見ながら)これは、晴海埠頭で撮ったんですよ。
丁度、晴海の東京モーターショーにサベージがゲストとして出演していて、その時にジャケット写真を撮るからと言って、フィリップスの人達が写真のロケ地を探していて、良い所があったからと言って僕たちが引っ張ってこられたのがここなんですよ。
材木がずらーっと積んであって、その上に載ってそれを下から撮ったんですね。
その時に何枚も撮ったんですが、その中の一枚がこれですね。
中央の赤いセーターが渡辺さん。
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